呼吸器の病気について
はじめに
呼吸器科は、私たちが呼吸をするために使う、鼻、喉、気管、気管支、肺といった器官の病気について専門的に診る診療科です。風邪を引いた時や咳が止まらない時など、呼吸に関わることで困った経験がある方も多いのではないでしょうか。呼吸器の病気は、風邪のように軽いものから、肺がんのように重いものまで、その種類や重症度は様々です。このページでは、呼吸器科の病気について、わかりやすくご説明します。
呼吸器科の病気の症状
呼吸器の病気の症状は、病気の種類や重症度によって異なりますが、代表的な症状としては以下のものが挙げられます。
- 咳: 乾いた咳、湿った咳など、咳の種類も様々です。病気によっては咳が出る状況や時間帯に特徴があります。
- 痰: 痰の色や量も、病気の種類によって異なります。
- 息切れ: 階段を上ったり、運動をしたときに息が切れるだけでなく、安静時でも息苦しさを感じる場合もあります。
- 胸痛: 咳をする際に胸が痛む、深呼吸ができないなどの症状が現れることがあります。
- 発熱: 感染症や呼吸器疾患の症状の一つとして、発熱を呈することがあります。
- 声の変化: 声がかすれる、嗄声になるなどの症状が現れることがあります。
これらの症状を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。また様々な病気の可能性を考えていく上で、丁寧な問診が重要になります。
呼吸器科の病気の原因
呼吸器の病気の原因は、大きく分けて以下のものが挙げられます。
- 感染: ウイルスや細菌などの感染によって、気道が炎症を起こすことがあります。風邪やインフルエンザなどが代表的な例です。
- アレルギー: 花粉やハウスダストなど、アレルギー物質によって気道が過敏になり、炎症を起こすことがあります。気管支喘息やアトピー咳が代表的な病気で、長引く咳の原因となることがあります。
- 環境要因: 大気汚染物質やタバコの煙などを吸い込むことで、気道が刺激され、炎症を起こすことがあります。
- 腫瘍: 肺がんなどの腫瘍が、気道を塞いだり、呼吸機能を低下させたりすることがあります。
- その他の病気: 心臓病や膠原病など、他の病気の合併症として、呼吸器の症状が現れることがあります。
呼吸器科の病気の種類
呼吸器の病気には、非常に多くの種類があります。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。
- 急性感染症: 風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、急性気管支炎、感染性肺炎(細菌性肺炎・非定型肺炎・マイコプラズマ肺炎)
- 慢性感染症: 結核、非結核性抗酸菌症、肺アスペルギルス症、肺クリプトコッカス症など
- アレルギー性疾患: 気管支喘息、咳喘息、アトピー咳、サルコイドーシス、アレルギー性鼻炎など
- 閉塞性肺疾患: 気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患:肺気腫・慢性気管支炎)など
- 間質性肺疾患: 肺線維症、過敏性肺臓炎、間質性肺炎など
- 腫瘍性疾患:肺がん、胸腺腫など
呼吸器科の病気の治療法
呼吸器の病気の治療法は、病気の種類や重症度によって異なります。
- 薬物療法: 抗菌薬、去痰薬、気管支拡張剤、ステロイド剤など、様々な薬物を使って治療を行います。
- 吸入療法: 気管支拡張剤やステロイド剤を吸入器を使って直接気道に届ける治療法です。喘息や閉塞性肺疾患の治療において非常に重要な治療であり、当院でも吸入療法に力を入れています。
- 酸素療法: 呼吸器の病気により酸素の量が不足することがあり、これを呼吸不全といいます。体内の酸素量が不足している場合には、酸素を供給して体内の酸素を保つための治療を行います。自宅で酸素を供給することを在宅酸素療法といい、当院でも在宅酸素療法を行なっています。
- 手術: 肺がんや気管支拡張症など、病気によっては手術が必要な場合もあります。手術が必要な場合には適切な医療機関に紹介いたします。
当院の治療方針
様々な病気が原因がとなる呼吸器の病気は、最初は大したことのない症状でも、進行すると重症となり、呼吸困難や呼吸不全につながることがあります。単なる発熱であっても、肺炎に至るなど、最初は大したことがない症状でも、長引いたり、大事に至るケースもあります。
当院では、呼吸器専門医が呼吸器診療を行なっており、患者さんの症状にあわせて正確な診断を行い、最適な治療が選択できるよう、丁寧な診療を心がけています。
呼吸器の病気は、早期発見と適切な治療が重要です。気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。
【わかりにくい言葉の補足】
- 気道: 空気を体内に送り込むための管のことです。鼻から始まって、気管、気管支、肺へとつながっています。
- 炎症: 体に異物が入ってきたり、何らかの刺激を受けたりすると、体がそれを攻撃するために起こす反応です。赤く腫れ上がり、熱を持ち、痛みを伴うことがあります。
- 腫瘍: 体の細胞が異常増殖してできた塊のことです。良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)があります。
- 呼吸不全: 呼吸がうまくいかず、体内に十分な酸素を送ることができなくなったり、体内に溜まった二酸化炭素を十分に体の外に出すことができなくなったりする状態のことです。
【関連ページ】
一般社団法人日本呼吸器学会:https://www.jrs.or.jp/
※このページでは、呼吸器科の病気について一般的な情報を提供しています。この情報は、一般的な情報であり、個々の患者さんに当てはまるものではありません。より詳しい情報を知りたい場合や、病気の診断や治療については、遠慮なく医師にご相談ください。