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糖尿病

糖尿病とは?

糖尿病は、血液中のブドウ糖がうまく利用できず、血液中のブドウ糖の量が多くなる(高血糖)状態が続く病気です。ブドウ糖は、私たちが食べたものが消化されてできる糖の一種で、体全体のエネルギー源として重要な役割を果たしています。通常、血糖値はインスリンというホルモンによって調整・コントロールされていますが、糖尿病では、このインスリンが十分に働かなかったり、不足したりすることにより、血糖値が上昇してしまいます。

糖尿病の症状

糖尿病の初期症状は、自覚しにくいことが多く、気づかないうちに進行してしまうことがあります。しかし、血糖値がかなり高くなると、以下の様な症状が現れることがあります。

  • 多飲: いつも以上に喉が渇き、水をたくさん飲みたくなる。
  • 多尿: 尿の回数が増え、夜中に何度もトイレに起きる。
  • 体重減少: 食欲はあるのに、体重が減ってしまう。
  • 倦怠感: 体がだるく、疲れやすい。
  • 視力低下: 目がかすんだり、ものが二重に見える。
  • 手足のしびれ: 手足に感覚がなくなり、しびれたり痛んだりする。
  • 傷が治りにくい: 切り傷などがなかなか治らない。

これらの症状は他の病気でも見られることがありますが、これらの症状がある場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。また症状が出にくいことが多いですので、定期的な健康診断も重要となります。

糖尿病の分類

糖尿病の原因は、大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病の2つがあります。

  • 1型糖尿病: 膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が壊されてしまう病気で、β細胞からインスリンがほとんど出なくなることにより糖尿病を発症します。主に小児期・若年者を中心に幅広い年代で発症し、遺伝的な要因や自己免疫が関与していると考えられています。
  • 2型糖尿病: インスリンが分泌されていても、その働きが十分でない、または、体がインスリンに対して抵抗性を持つ病気です。肥満、運動不足、高血圧、高脂血症などがリスク因子となり、成人期に発症することが多いです。日本人は遺伝的にインスリン分泌が弱い人が多いといわれており、90%の糖尿病がこのタイプです。

糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病の他に、妊娠糖尿病やその他の特殊なタイプの糖尿病があります。

  • 妊娠糖尿病: 妊娠中に初めて発症する糖尿病です。妊娠中にホルモンバランスが変化することで、血糖値が上昇しやすくなります。
  • その他の特殊なタイプの糖尿病: 膵臓の病気、ホルモンの異常、薬剤などが原因で、糖尿病となることがあります。

糖尿病の合併症

糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで、全身の様々な臓器に障害を引き起こすことがあり、これを合併症といいます。合併症は糖尿病の経過とともに徐々に進行し、生活の質を大きく低下させる原因となります。糖尿病の合併症の中でも、特に代表的なものに「三大合併症」と呼ばれる以下の3つがあります。

  • 糖尿病網膜症: 目の網膜の血管が損傷し、視力低下や失明につながる可能性があります。初期症状は自覚しにくいことが多いですが、進行すると視界に黒い点が浮いたり、物がゆがんで見えたりすることがあります。そのため定期的な眼科の受診が重要になります。
  • 糖尿病性腎症: 腎臓の働きが低下し、尿にタンパク質が出てきたり、むくみが出たりすることがあります。進行すると人工透析が必要になる場合もあり、定期的な尿検査や血液検査が重要です。
  • 糖尿病神経障害: 手足にしびれや痛みを感じたり、感覚が鈍くなったりすることがあり、進行すると、傷に気づかず悪化させてしまうことがあります。最悪の場合切断に至ることもあり、日々のお手入れ(フットケア)が重要になります。

三大合併症以外にも、糖尿病は様々な合併症を引き起こす可能性があります。

  • 動脈硬化: 血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化は、心臓病、脳卒中、下肢の動脈硬化など、様々な病気の原因となります。
  • 感染症: 高血糖状態では体の免疫力が低下しているため、細菌やウイルスに感染しやすくなります。
  • 神経障害: 自律神経障害とよばれる、内臓の働きをコントロールする神経の障害が起こることがあります。頻尿、便秘、勃起不全などの症状が現れることがあります。
  • 皮膚の合併症: かゆみ、乾燥、傷が治りにくいなどの皮膚のトラブルが起こることがあります。

糖尿病によるこれらの合併症を予防していくことが、治療の目標になります。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は、血糖値をコントロールし、合併症を予防することを目的として行われます。糖尿病の治療は、患者さんの年齢、糖尿病の種類、合併症の有無などによって異なることがありますが、主な治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。

  • 食事療法:
    食事療法は糖尿病治療の基本であり、血糖値を安定させるためにとても重要です。主食・主菜・副菜をバランスよく食べ、糖質・たんぱく質・脂質を適切な量で食べるようにします。食事は基本的には1日3食に分け、間食は控えめにし、よく噛んで腹八分目を意識しましょう。どれくらい活動するかによって、1日に必要なエネルギー量は異なりますが、食事療法ではからだに取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスを調整します。
  • 運動療法:
    運動は、インスリンの働きを良くし、血糖値を下げる効果があるため、適度な運動を続けることが重要です。ウォーキング・ジョギング・スイミングなど、無理なく継続できる有酸素運動を行っていきましょう。また筋力トレーニングも血糖コントロールに効果的です。意識して毎日の日常生活でのからだの活動量を少し多くすることも有効です。
  • 薬物療法:
    まずは食事療法・運動療法を行いますが、それだけでは血糖値がコントロールできない場合、薬物療法を行います。血糖降下薬の種類も多くなっており、患者さん一人一人にに合わせた薬を選択して治療を行なっていきますが、医師と相談しながら、決められた薬を正しく使用することが重要です。

糖尿病の治療には、食事や運動に加えて、以下の生活習慣の改善も重要です。

  • 体重管理: 適切な食事や運動ができているか、自宅でも体重を測定し、適正体重を維持しましょう。
  • 禁煙: 喫煙は、動脈硬化を促進し、糖尿病の合併症のリスクを高めるため、禁煙が重要です。
  • 適度な飲酒: アルコールは、血糖値を上昇させる可能性があり、適度な飲酒が重要です。

まとめ  ~治療の目標~

糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせ、患者さん一人ひとりの状態に合わせて行われます。
糖尿病治療の目標は、血糖値をコントロールし、さまざまな合併症の発症や進行を予防することです。血糖値をコントロールすることだけでなく、それにより糖尿病のない人と同じように健康に長く生きていくことが目標です
医師と相談しながら、患者さんも自分の体についての関心を高め、積極的に治療に取り組むことが大切です。

【補足】

  • インスリン: 膵臓(すいぞう)とい臓器で作られる、血糖値を下げる働きを持つホルモンのことです。
  • β細胞(べーた細胞): 膵臓にある細胞の一種で、インスリンを分泌する役割を担っています。
  • 自己免疫: 体が本来攻撃しないはずの自分の細胞を攻撃してしまう現象です。
  • インスリン抵抗性: インスリンが効きにくくなる状態のことです。
  • 血糖降下薬: 血糖値を下げる効果のある薬をまとめて血糖降下薬と呼びます。

【注意点】

  • この記事は、一般的な糖尿病に関する情報であり、個々の患者さんに当てはまるものではありません。
  • 不明点や疑問点など、詳しいことは医師にご相談ください。

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